【宮ノ越−薮原】
（宮ノ越宿…薮原宿まで約７．５ｋｍ）
福島宿から約７ｋｍ）
さぶっ。１か月ぶりの木曽福島だけど，
こんなに冷えるなんて，思わんかった。
今年の冬は，何だか早く来たみたいだらあ。
うん。ちいと寒いのん。
でも，朝が早いで，しょうがないぞん。
そうだね。まだ，８時４０分だものね。
名古屋７時５分発，特急しなの１号で
１時間半。
それに，青空フリーきっぷが使えるからお得。
わしゃあ，千種からだから，７時でいいけど，
りん子ちゃんは，豊橋からだと遠いのん。
休日は，豊橋５時５８分発の
区間快速で間に合うんだ。
（現在は，ダイヤ改悪で接続していません。）
（名鉄利用となります。）
さて，出発するかのん。
どうも，この坂を下っていくようじゃ。
何か分かりにくい道だね。
くねくね曲がっていて。
それでも，民家はレトロでいい感じ。
あっ。あそこに高札場がある。
なになに・・・。ゴツン。
アッ。痛てて。
コノッ。何で高札に屋根があるんだ。
プフッ。
殿，おでこに傷が・・・。
本町の通りはにぎやかじゃん。
車の通りも結構多いし・・・。
川の向こうには，藤村記念館とか
山村代官屋敷跡があるみたいよ。
それは，またのお楽しみ。
福島の関所へ直行。
イッ。痛てて。
福島の関所は，がけの上にあるって感じじゃん。
わおっ。見晴しいい。
木曽川も近くにあるし。
こんなに狭い谷だもんで，
旅人は，ここを通らざるを得んかっただぞん。
へえっ，おじさん。冴えとるゥ。
さっき，頭ぶつけたおかげだって，
言ってみりん。
りん子ちゃん，ひどいこと言うなあ。
ウッ。痛てて。
痛いのが，ぶり返した・・・。
おじさんが頭抱えてるうちに，
木曽福島ともお別れね。
もうすぐ，手習天神があるはずだけど・・・。
何だん？その手習天神というのは。
わしに，５０の手習いでもせりん，
と言うのかん？
そりゃあ，無理だ。
去年やっとったＮＨＫのハングル講座も
続かんで，わしゃあ，やめてまった。
あれえ。歴史好きのおじさんが知らないのお？
木曽義仲と巴の勉学のために
京都北野天神から迎えた天神様だそうよ。
あれっ。山の向こうに雪山がある。
いい景色じゃん。
りん子，こういうのどかなところが好きだな。
あれは，木曽駒ヶ岳じゃないかん。
ほい，中山道中間点だと。
ここは，日義村。よくここまで来たのん。
日義村かあ。
日吉じゃあ，ないんだ。ふうん。
ちょうど公園があるから，
明星岩を見ながら，一休みね。
（薮原宿…宿まで約５．５ｋｍ）
宮ノ越宿から約７．５ｋｍ
宮ノ越宿にはいったぞん。
本陣跡だが，建物は残っとらんようだ。
義仲館とか旗揚八幡宮だとかはあるけど
中山道の歴史は，残されてないのん。
・・・・・・・・・・・・・
わかった。
うん，うん。きっとそうだ。
何だい，りん子ちゃん。
急に納得してさ。
おじさんが，日義村って言ってたでしょ。
きっと，朝日将軍義仲の関係よ。
なるほど。
朝日の“日”と義仲の“義”をとって
日義というわけだ。
愛知県だと，ひよしと言うと
日吉丸，秀吉になっちゃうけど，
ところ変わればって・・わけじゃんね。
よっ。りん子御前。
博学ゥ！ヒュー，ヒュー。
コツン。
エッ。痛てて。
何だい，りん子ちゃん。
突然なぐるなんて，ひどいぞん。
おじさんが，ふざけるでいかんだわ。
それより，何でアイウエ，痛ててだん？
オッ，痛てえとこ疲れた。
木曽川の流れがずいぶん近くなってきたぞん。
いよいよ源流に近づいたようじゃな。
巴ヶ淵。
ずっと眺めていると，
りん子も巴御前になった気分。
ほだのん。だからさっき，
わしがりん子御前と呼んでやっただがん。
（巴は龍が化身したっていうでな・・・。
そう言えば，
りん子ちゃんもちょっときつい。）
コツン。
コッ。痛てて。
言うと思った・・・。
龍のバチがあたったと思いん。
この先，山吹山トンネルだって。
素敵な名前じゃん。
中山道は，山の中通っているみたいね。
残された旧道部分も，くずれやすそうだし・・・。
国道を行くほうがよさそうだのん。
トンネルを抜けると，
木の葉の舞い散る木祖村だった。
何言ってんの？まったく。
でも，冬になると，
トンネルを抜けると雪国だった
というのはありね。
山は，日が陰るのが早いのん。
菅橋も日陰で寒そうだ。
薮原宿へ急がまい。
ふうっ。薮原駅についたぞん。
でも，まだ列車まで時間があるから
ちょっと宿場まで行ってみるかん。
藪原駅は，中山道の道筋から
外れてるようね。
でも，この地下道をくぐると，
いいみたい。
本当だ。結構，昔の街並みが残っていて，いいのん。
薮原宿は，お六櫛が有名だそうだぞん。
りん子ちゃん，お六櫛を買ったらどうだん。
私は，似合わないから・・。
それより，さちおばさんに買っていったら？
いやあ，あのおばはんにも似合わん。
あっ。
おばさんに言いっちゃお。言いっちゃお。
キッ。痛てて。
あれっ。りん子，たたいてないよ。
うん。りん子ちゃんのことばが
効いてね。
キッ。痛てて。
（二人は，薮原から普通電車で木曽福島まで行き，
木曽福島から特急しなのに乗り換えた。
特急の座席で，りん子ちゃんは
おばさんにメールをうち，
のんほいおじさんは，
カキクケコを終わらせたかったと
悔やむのであった。）
