【上松−福島】
（上松宿…福島宿まで約９．５ｋｍ）
須原宿から約１３ｋｍ
今日は三人旅になってうれしいわ。
いやね。このおっさんが
みっちゃん，じゃなかったりん子ちゃんが
たそがれたって言うもんだから，
心配になってね。
あっ，おばさん，ごめんね。
別に，たそがれたわけじゃないから・・・。
ほうかん。わしのせいでたそがれたと思った。
よかった。よかった。
今日は，木曽福島までがんばらまい。
ブル，ブル，ブル，ブルッ。
寒いのん。
あれっ。雪が積もっとるじゃん。
どおりで寒いわけだね。
おっさんが，コスモスがきれいだって
言ってたけど，
これじゃあ，コスモスどころじゃないがね。
上松町にはいったぞん。
標高５８８ｍか。
意識してなんだが，結構高いだのん。
食堂の脇の橋を渡って，
左に折れると・・・。
養魚場になっちゃった。
何か変だらあ。
そうだのん。
ほい，あっちに道がつながってるぞん。
なんだね。
もっと親切に書いとかな，あかんがね。
道に迷ったらどうするだね。
おばさん。
わたしがまちがえちゃったの，ごめんなさい。
このおばはん，むちゃくちゃだがや。
住んでる人にとっては，
中山道だろうがなかろうが，関係ないだわ。
街道歩きするもんは，道を突きとめながら
進んでかな，あかんのだわ。
ほい，倉本の一里塚だぞん。
江戸より７４里だと。
へえっ。上松町には４つも一里塚があるんだ。
まだまだ先が長そうじゃん。
おっととっと。
大沢橋で，右に入らないかんかった。
これは，分かりにくい。
へええっ。
街道歩きするもんは，
道を突きとめながら
進んでかなあかんのと，違うか？
おばはんには，かなわんは。
それより，コスモスが咲いとるぞん。
あれは，倉本駅だのん。
倉本駅で，休憩して行かまい。
ちょうど，
トイレに行きたかったんだあ。
立町の立場から荻原までは
旧道が残っていて，いい感じじゃん。
荻原の一里塚は，江戸より７３里かあ。
あんなところに滝があるがね。
小野の滝だと。
鉄橋がなけりゃ，
立派に見えそうだがね。
それより，あの越前屋っていう旅館を曲がると
いよいよ寝覚の床だぞん。
行ってみよまい。
でもおじさん，先が長いから・・・。
小雨もぱらついてるし・・・。
だけど，せっかくここまで来たんだから，
寝覚の床，見とくまい。
悪いこと言わんで。
おっさん，何でそうこだわるだん。
そんなにいいところとも思わんがね。
寝覚の床に竜宮城があるって聞いたぞん。
わしゃあ，
その乙姫様を拝んでみたいだがや。
何だい。乙姫さんなら，あんたの目の前に
いりゃあすがね。
えっ・・・？
りん子ちゃんのことかい。
うっ。（ことばが詰まる。）
まっ，まさか・・・。おばはんのことか？
あったり前田のクラッカー。
名古屋の乙姫さんとは，
えっへん。わっしのことよ。
？？？？？？？？？？？？？？？？？
上松宿は，静かな裏道が続いとるじゃん。
この曲尺手のところが本陣だらあ。
見てみりん。上松の一里塚だって！
となりは，脇本陣ずら。
りん子ちゃん。
無理して「ずら」なんてつかわなくても
いいずら。
それにしても，この道中記は
あっという間に宿場を通り過ぎるのん。
（福島宿…宮ノ越宿まで約７ｋｍ）
上松宿から約９．５ｋｍ
十王橋を過ぎると，
北西方向に進むみたいじゃん。
この辺の中山道はなくなっているみたい。
国道１９号も暗い感じで，いやだらあ。
つり橋も，くずれ落ちそうだがね。
レトロな感じはするけど・・・。
木曽の谷でもこの辺りがいちばん
狭いところだげな。
木曽の桟（かけはし）は，
川岸に石垣をつくって
そこを通行できるようにしたものだぞん。
沓掛の一里塚。
上松町でいちばん北の一里塚だよね。
ここから先は，
中山道の上を中央線が走ってるそうよ。
いつの間にか木曽町に入ったぞん。
あれれっ。トンネルだぞん！
何か不気味だのん。戻るか？
下の国道を行かなきゃいかんかっただがね。
仕方がないわ。
このままゴー！
わっしについてこい。
おばさん，頼もしい。
ここは中平の立場らしいのん。
福島宿のエントランスエリアを
見逃したぞん。
そんなん，どうでもいいがね。
ほら，おっさんが好きな一里塚。
木曽福島駅が見えたずら。
（元気なさちおばさんに押されっぱなしの
のんほいおじさんも，
楽しいトークとウォークに
まんざらでもなさそうであった。
だじゃれを言わなくても済んだりん子ちゃんは，
気楽に歩けた一日に安堵するのであった。）
※寝覚の床の臨川寺には，
弁天堂はありますが
乙姫様がいると言うことではありません
