【大湫−大井】
（大湫宿…大井宿まで約１４ｋｍ）
細久手宿から約６ｋｍ）
ＪＲ瑞浪駅からだと，タクシーの便がいいのん。
駅で待っていてくれるのが助かるよ。
タクシー代は，わしが出しておくでのん。
ラッキー。おじさん，ありがとう。
細久手宿まで行く瑞浪コミュニティーバスは，
土日が休みだから，タクシーしかないんだよね。
まかしておくれん。
ところで，運転手さん。
中山道を歩くだけど，熊は出んかのん。
このあたりでは聞いたことがないですね。
馬籠あたりでは，出るみたいですけど。
そうかん。安心したよ。
大黒屋へ着いたぞん。
細久手宿を出るときは，東に向かって
ひずるしかった（まぶしかった）けど，
山道は，日陰になって，気持ちがいいのん。
あっ。形のいい一里塚じゃん。
奥野田一里塚だって。
大井まで一里塚がたくさん残っているみたいだね。
今日は，２０ｋｍもあるぞん。
りん子ちゃん，頑張らまい。
琵琶峠とか，十三峠とか，山道が続くだらあ。
山道でも，おじさんがいっしょだから，
大丈夫だよ。
りん子ちゃん。優しいのん。
この間，怒って帰っちゃったから，
もういっしょに歩けんと，思っとっただわ。
そりゃ，あの時は，びっくりするやら，
あきれるやら・・・。
かくすなんて，ひどいと思ったわ。
悪かったのん。許しておくれん。
そんなあ。許すも何も。
私こそ，ごめんね。
許しておくれるかん。りん子ちゃんは，
まるで弁天池の弁天様のようだ。
いやだあ。見え透いたことを言うんだから。
でも，私が中山道を歩くと聞いて，
見守ってくれてたんだってね。
うん，まあ。それもあるけど，
りん子ちゃんのお母さんから中山道の話を聞いて
わしも歩きたくなっただよ。
それにしても，のんほいおじさんが，
さちおばさんの旦那さんだなんて，
全く気付かなかったよ。ごめんね。
いやあ。１０年ぶりに会ったりん子ちゃんは
そこに咲いてるササユリのように清楚だったぞん。
まったく，お上手だこと。
ここからがいよいよ琵琶峠への道だね。
八瀬沢立場跡。
きれいに整備されてるじゃん。
八瀬沢一里塚も，緑の草できれいだのん。
琵琶峠の道は，
いいハイキングコースだったのん。
あれっ，すごい岩があるじゃん。
フムフム。これが二つ岩ね。
もう大湫の町に入ったんだあ。
りっぱな，高札があるぞん。
このあたりで，休憩したいのん。
五平餅でも食べまい。
やっぱり，大湫だね。
雰囲気のいい茶店もあるよ。
ここで，熊よけの鈴を買おうっと。
ここから先は，十三峠で
店もないだろうから，お茶を買って
トイレもすませておきんよ。
あれが大湫小学校ね。
廃校になる前に見ておきたかったわ。
ここが本陣の跡だそうよ。
（大井宿…中津川宿まで約１０ｋｍ）
大湫宿から約１４ｋｍ
宗昌寺からはじまる坂は，
けっこう厳しかったのん。
寺坂っていうのかのん。
山の神坂，八丁坂は下りで良かったけど，
曽根松坂，びやいと坂の上りは応えるね。
あれ，ゴルフクラブを持ったおじさんがいるよ。
中仙道ゴルフ場？びっくりしたし・・・。
権現山一里塚。
大湫宿から２ｋｍか。
山道だったから，長く感じたよ。
もう恵那市に入ったようだ。
大久後のあたりは，
少しひらけてきたのん。
でも，その分。暑く感じるらあ。
のどが渇いてきた。
そうだのん。
あっ，あれは花しょうぶだがん。
きれいだのん。なにか小屋があるぞん。
人もいるから，休憩ができそうだのん。
でも，ちょっと・・・。
余分なお金をつかいたくないから
次の深萱立場まで行こうよ。
そこなら，自販機ぐらいあるよ。
深萱立場に着いたぞん。
支所もバス停もあるけど，
自販機が・・・。
ない・・・。
げえっ。
私も飲み物がなくなってきたわ。
のどは渇くし，汗もかくし，
疲れたよう。
ひいっ。ここが紅坂一里塚か。
ということは，
６ｋｍも自販機がない。
田んぼのおじさん，
水をくれないかなあ。
あっ。家があるよ。四ッ谷かな。
地図で見ると，
中央線の武並駅まで１ｋｍぐらい。
１ｋｍかあ。わしゃあ，ここから
武並まで行きたいよう。
ひいひい。
あったあ。自販機。
やったあ。
地元の建設会社の自販機ね。
四ッ谷中山道休憩所。すばらしい。
ここで，ちょっと休憩。
みだれ橋。
ここからの坂は大変らしいぞん。
さっき買ったお茶も，
もうずいぶん減ってしまった。
槙ヶ根追分まで急がまい。
この槙ヶ根一里塚周辺は，
桜がきれいだそうね。
春に来てみたいわ。
秋には中山道沿いに
萩の花が咲くみたいだし。
西行塚にきたぞん。
下の公園にいるのは，行楽客かな。
何か久しぶりに，人を見た気がする。
大湫のお店のおばさんと，
花しょうぶの小屋の人。
そして，四ッ谷の田んぼのおじさんでしょ。
槙ヶ根一里塚の駐車場にもだれかがいたっけ・・。
ついに国道１９号に合流したのん。
中野村の庄屋様の家だそうよ
大井宿に着いたわ。
ばんざい。
（ あまりにも疲れた二人は，
恵那駅から中央線で，
仲良く名古屋駅へ向かうのであった。）
